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Fan Ficiton 「特別な一日」(4)

まだ続きますw まだ長くなってしまいそうです・・・(^-^;


遊園地から下宿に戻ると、フラウ達は夕食の用意をしていてくれた。もう外はすっかり暗くなっている。帰りがいつもの時間より遅くなったので、フラウ達は先に夕食を済ませていたため、食堂には幼いラインハルトと二人きりになった。
キルヒアイスはなんとなくほっとしながら、自分で料理の皿をテーブルに並べた。メニューはジャガイモと豚肉を煮込んだスープと野菜のザラート、黒パンといったものだ。椅子のサイズが小さくなったラインハルトには少々低くなってしまうので、クッションを置いて座らせ、食事を始めた。
「このパン、かたいよ」
「スープに浸して食べたら柔らかくておいしくなるよ」
 少々お行儀は悪いが煮込みの皿にちぎったパンをつけて食べる事をキルヒアイスは教えてやった。料理上手なフラウ達の作ったスープはよく煮込まれていて温かく、口にすると幸せな気分になる。もっとも二人にとってはアンネローゼが作った料理が世界で一番おいしい物であることは変わらないが。
 機嫌よくスープとパンを順調に食べていたラインハルトだったが、付け合わせのザラートには手をつけようとしない。チシャが入っているので食べないのだろうとキルヒアイスにはすぐに察せられた。
「野菜も食べないとだめだよ」
(ラインハルトさまのチシャ嫌いにも困ったものだ・・・)
 いつも自分が食べてやるのもどうかと最近思っていたので、ザラートのお皿をラインハルトの前に押しやってみる。
「チシャはきらい」
 ラインハルトは言うなり、思い切りお皿を振り払ったので、さほど広くないテーブルの上を皿は滑っていき、そのまま下に落ちてしまった。皿に盛られていたチシャの葉やドレッシングが派手に床の上に散らばった。
「食べ物を落としちゃだめだろ」
 思わずむっとしてキルヒアイスは言った。昼間走りまわるラインハルトを追いかけていた疲れも影響しているのかもしれない。
「食べ物を粗末にしちゃいけないって、お姉さんに言われてるんじゃないのかい」
「しらないっ」
「人がせっかく作ってくれた物を、落とすのは悪い子だろ」
「わるくないもん。きらいなものをむりに食べさせるほうがわるい!」
 ラインハルトは小さな唇をとがらせると座っていた椅子からぴょんと飛び降りた。
「もういらない」
 ここはきちんとしつけるべきなのだろう。キルヒアイスは決心した。
「食べ物を粗末にする子はこうだぞ」
 ラインハルトを手を伸ばして捕まえると椅子の上に抱え上げて、うつぶせにさせると小さなお尻をパンパンと叩いた。もとより力は手加減しているが、「優しいキルヒアイスお兄さん」に叩かれたのはショックだったのかラインハルトはじっとしている。
(さすがはラインハルトさま。幼くても声もあげずに我慢なさっている)
 キルヒアイスが感心していると、
「キルヒアイス・・・、よくもやってくれたな・・・!!」
 地の底から響くような恐ろしい声が俯いた顔から洩れたので、キルヒアイスは驚いて思わず膝の上のラインハルトを落としそうになってしまった。
(まさか、このタイミングで元に戻った・・・!?)
「ラインハルトさまっ?!」
 思わず抱き起こして顔を覗き込んでみたが、幼い顔のまま、ラインハルトはきょとんとした目で見上げてくるばかりだ。
「なに? きるひあいしゅ」
「いや、なんでもない・・・。ラインハルトが大丈夫かなと思って」
「ふ~ん。べつにへいきだけど」
 ラインハルトは白いふっくらした頬を、さらにむっと膨らませた。
「でも、たたくなんてひどいぞ! きるひあいしゅのば~か! ば~か! ばーーーーか!!」
 ラインハルトはキルヒアイスの膝の上に座ったまま、落ちないように腕を掴むと足でめちゃくちゃに蹴りを入れてくる。
「ちょっ、ちょっとおとなしくして!」
 慌てて注意したが、時すでに遅かった。
「い、痛-------ああッ!!」
 キルヒアイスの大事なところに情け容赦ない一撃がヒットした。子供のすることといっても、まったく手加減のない力いっぱいの蹴りである。目の前に火花が飛び、たまらずに椅子から滑り落ちてうずくまった。
「うううう・・・ラインハルトぉぉ・・・っ」
「やった~っ!! アハハハハッ! わるいやつをやっつけたぞ~!」
 悶絶しているのがよほどおかしいのか、ラインハルトは大声で笑い周囲を跳ねまわる。
(こ、これがあるのを忘れていた・・・)
 キルヒアイスは冷や汗を流しながら、痛みが治まるのをひたすら待つのみであった。
 ようやく息がつけるようになり、呼吸を整えると精いっぱいの威厳を込めてキルヒアイスは言った。
「・・・ラインハルト、もういいから座ってさっさと残りを食べてしまいなさい」

 (続)
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えりん

Author:えりん
塚銀を観て出戻り、急速にオタク&腐女子化がすすみ二次までやらかしています。宝塚にもハマり宙組雪組を中心に見ていますが、永遠の観劇ビギナー。二次ネタは腐やNL等雑多ですのでご注意ください。

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