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Fan Fiction 「特別な一日」(2)

続きです。


朝起きてみるとラインハルトはまだ起きていないようだった。たいていの朝はキルヒアイスが先に起きるのであまり気にはしなかったのだが、階下のフラウたちが朝食の準備ができたと呼びに来てもまだ、部屋から出てこないのでラインハルトの寝室に入ってみた。
「ラインハルトさま、そろそろ起きてください」
 飾り気のない簡素なベッドに朝の光がさんさんと降りそそいでいる。その光を浴びて掛け布のすきまから金色の髪がこぼれている。それはいつもの見慣れた光景なのだが、なにか違和感があった。ベッドの上のもりあがりがいつもより小さい。
「うーん、うるさいなあ」
 キルヒアイスの呼びかけに応えてベッドのうえに目をこすりながら起きあがったのは、小さな子供だった。
「ええっ・・・ラインハルトさまっ・・・?! ラインハルトさまはっ?!」
 キルヒアイスはわが目を疑った。驚きのあまり思わず部屋を見渡してみたが、この部屋には金髪の子供と彼の二人しかいない。
「ぼくはラインハルトだけど」
 子供らしい、澄んだ甲高い声だ。昔なつかしいラインハルトの少年の頃の声と良く似ている。
「ラインハルトさま・・・・・・・・?」
 確かにラインハルトなのだろう、昨日の晩おやすみを言ってこの部屋に入った者は、ラインハルト以外にいないし、彼のベッドに寝ているのだから。そして見慣れたラインハルトの寝間着を着ているし、輝かしい金色の髪もいつもと同じだ。何より顔が、記憶にある頃よりは幼いが少年の頃の彼の顔なのだった。
 いかなる宇宙の摂理の歪みか、はたまた大神オーディンの気まぐれか、ラインハルトの身体は小さくなっていた。身体の大きさからいって、年の頃は五~六歳のあたりになるのだろうか。
 金髪の子供はベッドの上に起き上がって、キルヒアイスをじっと見つめて言った。
「お兄さんはだれ? ここはどこ?」
 どうやら、現在のラインハルトの記憶はないようだ。
「私・・・、ぼくの名前は、ジークフリード・キルヒアイス」
 キルヒアイスは思わず反応し聞かれたことに答えた。宇宙空間や戦場で思わぬ事態が起こることには慣れているのである。いつまでもパニックになっていては生死に関わるのだから、目の前の事態に対処しなければならないのだ。
 既視感と懐かしさに怒涛のように襲われ、キルヒアイスは頭がくらくらした。ラインハルトはなんと答えるのだろう・・・。
 固唾をのんでキルヒアイスは次の言葉を待った。
「ジークフリードなんて、よくある名前だなっ」
 人生二度目の奇跡だ。この言葉をもう一度聞くことになろうとは。ただ、「俗な」という言葉は幼いラインハルトはまだ知らなかったようだ。
「家のちかくにふたりもジークフリードってなまえの子がいるんだ。だからきみのこと、みょうじで呼ぶことにするよ、きるひあいしゅ」
 後に続いた言葉は少し違っていたが、同じ結論に落ちついた。
(変わらない・・・、ラインハルトさま・・・)
 体は小さくなっても中味は変わらないのだとあらためて感心したキルヒアイスである。名前を呼ぶのにきるひあいしゅ、と舌がまわりきっていないのも可愛いのである。
(まだジークフリードのほうが言いやすいだろうに、無理に名字のほうで言わなくても)
と思うキルヒアイスであった。


 それにしても、見れば見るほどかわいい子供だ。金髪の巻き毛が、子供らしくふっくらとした顏をふちどっていて、睫毛は金色で植えこんだように長く、目を伏せると長い影を白い頬に落とした。大きな蒼氷色の瞳は、今のような鋭い光を放つことはなく、まだまだ無邪気なつぶらな瞳だ。まさしく天使のようなという形容が似合うかわいらしさだった。その真っ白なほっぺたは見るからにふくふくとしていて、さぞかし触るとすべすべして気持ちいいだろうと思われる。つい指で押してみたくなった。

 ぷにぷに~ 

 ぷにぷに~

(ああっ可愛い・・・それにこの感触・・・なんて柔らかくて気持ちいいんだろう)
しばらくバラ色のほっぺたを指で突っついて、押し返してくる弾力を楽しんだ。
「きるひあいしゅ、もうやめてよ~。きもちわるいな」
「・・・ご、ごめん、ラインハルト」

(続)
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プロフィール

えりん

Author:えりん
塚銀を観て出戻り、急速にオタク&腐女子化がすすみ二次までやらかしています。宝塚にもハマり宙組雪組を中心に見ていますが、永遠の観劇ビギナー。二次ネタは腐やNL等雑多ですのでご注意ください。

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